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◆鹿野の久重さん幕引きへ在庫一掃 フォアグラ、トリュフと並ぶ世界三大珍味のキャビア。そのキャビアをはらむチョウザメの身で作った「キャビアの親カレー」が売り出された。開発したのはチョウザメ養殖に取り組む鳥取市鹿野町今市の久重豊彦さん(70)。「養殖をやめるための在庫一掃」といい、5千食を限定販売する。(井石栄司) 久重さんの本業はスッポン養殖。岩手県釜石市でチョウザメの養殖に取り組む知り合いから2千匹を入手し、「ペット」として12年前から飼い続け、注文があれば地元の飲食店に出荷していた。 ◇「産卵まで10年」/チョウザメ養殖“甘くない” キャビアは、高価なものは50グラム瓶が4万円もする高級食材。一獲千金を夢見てチョウザメ養殖への業態転換した参入業者もいるが、「キャビアが採れるまで成長するには10年近くかかるし、卵をはらませるのは難しいよ」と久重さん。スッポンはほったらかしにできても、チョウザメは目が離せない。飼い始めてから遠出も控えて世話を続けてきた。 ◇高齢とコスト高 チョウザメは、水温が高くなると死んでしまうし、酸素も不可欠。酸素を混ぜた井戸水を養殖池に流し続けるための電気代は月に2万5千円前後かかるという。エサもなかなか食べないので、水に溶けにくい特殊な配合飼料を与える。「腹が減っても食べないんだからチョウザメは。でも、かわいい」。そんな久重さんも70歳。奥さんの勧めもあって、養殖をやめる決心をした。 ところが、冷凍庫にはチョウザメの切り身が数百キロも残っている。「フグよりうまい」と自慢の身だが、独特のにおいがあって、人によって好き嫌いが激しい。手間や経費がかかる分、値段も100グラム400円と高めで、買ってくれる飲食店もなかなかない状態という。 そこで、思いついたのがレトルトカレーだ。若いころは外国航路の船員をしていた久重さんは、船上食でよく出たカレーには詳しい。タマネギなど野菜を裏ごしして丁寧に仕上げた。辛みと甘みがうまく溶けあい、チョウザメの肉を香辛料の香りが包み込む。バランスの良い味に仕上げた自信作だ。本業で作るスッポンスープも入れている。 5千袋を生産したが、包装のデザインや印刷も凝ったため、定価は一袋400円。レトルトカレーとしては少々高めだ。道の駅などで販売中だが、卸売業者には「値段では勝負にならないから、スーパーでは販売しないで」と注文を付けた。「ひっそり売りたいので、売っている店は教えられない」と久重さんの口は重いが、鹿野温泉の国民宿舎「山紫苑」の売店では買えるという。