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相次ぐ有名ブランドの経営破綻(はたん)に、ファストファッション人気や激安ブーム。世界的な経済不況にファッション界も激動した。老舗(しにせ)ブランドは伝統的な職人技によるもの作りへと回帰。同時に発表や販売の場をネットにも広げるなど、生き残りをかけた模索が続いた。米国オバマ政権に続き国内でも政権が交代。その「チェンジ」を反映するように、ファッション界も変化を迫られた1年だった。 国内勢ではユニクロが一人勝ちし、海外からのファストファッションも不況知らずの勢いを見せつけた。 ユニクロの低価格ブランドのジーユーが3月に990円ジーンズを売り出すと、イオンなどが追随、3けたジーンズ戦争が起きた。ユニクロは10月、世界的デザイナー、ジル・サンダーによるプラス・ジェイのラインを発売。10月のパリ・オペラ店の開店時には約500人が並んだ。 また、米国のフォーエバー21が4月、H&M原宿店の隣に出店すると、半年余りで来店者数は300万人を突破。迎え撃つH&Mも渋谷の東急本店前と新宿の伊勢丹前、ZARAも渋谷駅近くに大型店を開き、百貨店の低迷を尻目に、日本市場での足場を固めた。12月にはお台場にできた初の都心アウトレットが話題になった。 一方、長引く不況で高級品市場が急激に冷え込み、有名ブランドの経営破綻(はたん)が続いた。2月、ミラノのジャンフランコ・フェレに続き、5月に「フランスの宝」とも称されていたクリスチャン・ラクロワ、10月にはヨウジヤマモトも民事再生法の適用を仰いだ。 中国など新興市場への出店でしのいできた人気ブランドも、軒並み減益の苦境に立たされた。パリやミラノのコレクションでは、ショーの中止や規模を縮小するブランドが目立った。 そうした中、老舗(しにせ)ブランドは「伝統回帰」としてブランドの象徴的なモチーフや職人技を強調して差別化を図った。また、アートや環境、途上国支援など側面での活動も目立った。 伝統といえば、シャネルの創始者ココ・シャネルを描いた3本の映画が注目され、カルティエやヴァンクリーフ&アーペルなど宝飾ブランドの作品展も開かれた。 街では、自然派のスタイルが人気だった。春夏はアニマル柄にスエードのブーツ、マリンスタイル。素朴な重ね着を好む「森ガール」にもスポットが当たった。秋冬のトレンドだったパワフルな80年代スタイルは一瞬のうちにあだ花のように消え、デザインやイメージ、価格にも「リアル」が重要視されてシンプルで現実的な服が主流になった。カーキのモッズコートやダウン、ぼろぼろのデニム、オーバーオールなどベーシックだがどことなく無頼な感じの服が目だった。 メンズでは、カジュアル化と中性化がますます進み、スカートをはく「スカート男子」が出現した。パリのメンズコレクションで評価を高めるランバンが09年秋冬で見せたのも、少年っぽさを残す男の色気。服の色も素材も柔らかく優しくなった。 そうした傾向を背景に、ルイ・ヴィトンは10月、前回までの華麗さから一転して、カジュアルなリアルクローズを打ち出し、ほとんどのモデルにバッグを持たせながらショーをネットで実況中継した。アレキサンダー・マックイーンなども、世界の消費者に向けて直接ショーをネット配信した。ブランド発のサイトも増え、高級ブランドを扱う会員制のサイトの登場も話題になった。 東京コレクションは、会期の短期集中はいまだ課題のままだが、若手の力が充実して、層が厚くなってきた。 09年はこれまでのぜいたく過ぎる物や着飾ったイメージが急にださく見え始めた。意図が感じられるスタイルよりも偶然のような自由な組み合わせがシックに見え、会ったことのない有名人よりも地元のおしゃれさんの方がリアリティーのあるファッションリーダーに変わった。急激に変化するそんな価値観が、2010年代の新たな幕開けを期待させる。(編集委員・高橋牧子、菅野俊秀)
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